1. 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除
(1) 内容(法38の2条1項)
事業者(免税事業者を除く。)が、国内において行った特定課税仕入れにつき、値引き又は割戻しを受けたことにより、特定課税仕入れに係る対価の返還等※を受けた場合には、その特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、その課税期間における特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(その返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に100分の6.3を乗じて算出した金額)の合計額を控除する。
(2) 帳簿の保存(法38条2項・令58の2条)
① 適用要件
(1)の規定は、事業者が一定の記載事項を記録した帳簿を保存しない場合には、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、その保存をすることができなかったことを証明した場合は、この限りでない。
② 保存期間
帳簿を、その閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、その納税地又はその取引に係る事務所等の所在地に保存しなければならない。
③ 一定の保存方法の許容
課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から5年を経過した日以後の期間における保存は、一定の方法によることができる。
④ 記載事項
- イ 特定課税仕入れに係る対価の返還等をした者の氏名又は名称
- ロ 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた年月日
- ニ 特定課税仕入れに係る対価の返還等の内容
- ハ 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額
- ホ 特定課税仕入れに係る対価の返還等である旨
2. 相続、合併、分割があった場合(法38条3・4項)
(1) 相続があった場合
相続により被相続人の事業を承継した相続人が、被相続人により行われた特定課税仕入れにつき特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その相続人が行った特定課税仕入れにつき、特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けたものとみなして、1の規定を適用する。
(2) 合併又は分割があった場合
(1)の規定は、合併又は分割により事業を承継した合併法人又は分割承継法人について準用する。
※ 特定課税仕入れに係る支払対価の額の全部若しくは一部の返還又はその支払対価の額に係る買掛金その他の債務の額の全部若しくは一部の減額をいう。