1. 課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入れに係る消費税額の調整(法33条1項)
(1) 変動による調整
事業者(免除事業者を除く。)が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れ等を行い、かつ、その課税仕入れ等の税額につき比例配分法により仕入れに係る消費税額を計算した場合(課税仕入れ等の税額の全額が控除された場合を含む)において、その事業者(相続、合併及び分割により事業を承継した課税事業者を含む。)が、第3年度の課税期間の末日において、その調整対象固定資産を有しており、かつ、第3年度の課税期間における通算課税売上割合が、仕入れ等の課税期間における課税売上割合に対して著しく増加又は減少したときは、一定の方法により計算をした調整税額を、その第3年度の課税期間の仕入れに係る消費税額に加算し又は控除する。
この場合において、その加算又は控除後の金額を、その課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。
(2) 控除しきれない場合(著しく減少した場合のみ)(法33条3項)
2. 調整税額等
(1) 調整税額
調整税額は、その通算課税売上割合が著しく増加した場合には次の②から①を控除した金額とし、著しく減少した場合には次の①から②を控除した金額とする。
- ① 調整対象基準税額にその仕入れ等の課税期間における課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額(課税仕入れ等の税額の全額が控除された場合には、調整対象基準税額の合計額)
- ② 調整対象基準税額に通算課税売上割合を乗じて計算した消費税額の合計額
(2) 著しく増加又は減少した場合(令53条1・2項)
著しく増加した場合:(② – ①)/ ① ≧ 50% かつ ② – ① ≧ 5%
著しく減少した場合:(① – ②)/ ① ≧ 50% かつ ① – ② ≧ 5%
① 仕入れ等の課税期間における課税売上割合
② 通算課税売上割合
3. 意義
(1) 比例配分法
個別対応方式により課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等の税額の合計額に課税売上割合を乗じて計算する方法又は一括比例配分方式をいう。
(2) 仕入れ等の課税期間
その調整対象固定資産の課税仕入れの日若しくは特定課税仕入れの日又は保税地域からの引取りの日若しくは特例申告書を提出した日の属する課税期間をいう。
(3) 第3年度の課税期間
仕入れ等の課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間をいう。
(4) 通算課税売上割合
仕入れ等の課税期間から第3年度の課税期間までの各課税期間において適用されるべき課税売上割合を一定の方法により通算した課税売上割合をいう。
(5) 調整対象基準税額
保有調整対象固定資産の課税仕入れに係る消費税額若しくは特定課税仕入れに係る消費税額又は保有調整対象固定資産である課税貨物に係る消費税額をいう。
(6) 保有調整対象固定資産
第3年度の課税期間の末日において有する調整対象固定資産をいう。
(7) 調整対象固定資産
棚卸資産以外の資産で、建物、構築物その他の資産で、課税仕入れに係る支払対価の額の108分の100に相当する金額、特定課税仕入れに係る支払対価の額又は保税地域から引き取られるその資産の課税標準である金額が、一の取引の単位につき100万円以上のものをいう。