1. 仕入れに係る消費税額の特例
(1) 内容(法60条4項・令75条3・4項)
国・地方公共団体の特別会計、別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等(免税事業者を除く。)が課税仕入れを行い又は課税貨物を保税地域から引き取る場合において、その課税仕入れの日又はその引取りの日(特例申告の場合は、その申告書を提出した日)の属する課税期間において特定収入があり、かつ、特定収入割合が5%を超えるときは、簡易課税の適用を受ける場合を除き、その課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、原則の規定により計算した課税仕入れ等の税額の合計額から調整税額を控除した残額とする。
この場合において、その金額は、その課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。
(2) 控除しきれない場合(法60条5項)
調整税額を、原則の規定により計算した課税仕入れ等の税額の合計額から控除して、控除しきれない金額があるときは、その控除しきれない金額を課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その課税期間における課税標準額に対する消費税額に加算する。
(3) 定義
① 特定収入(法60条4項・令75条1項)
資産の譲渡等の対価以外の収入で、次の収入を除いたものをいう。
- イ 借入金及び債券の発行に係る収入で、法令においてその返済又は償還のため補助金等の交付を受けることが規定されているもの以外のもの(以下「借入金等」という。)
- ロ 出資金
- ハ 預貯金及び預り金
- ニ 貸付回収金
- ホ 返還金及び還付金
- ヘ イ~ホ以外の収入で、法令又は交付要綱等において、特定支出のためにのみ使用することとされている収入等
② 特定支出
次の支出以外の支出をいう。
- イ 課税仕入れに係る支払対価の額に係る支出
- ロ 特定課税仕入れに係る支払対価等の額に係る支出
- ハ 課税貨物の引取価額に係る支出
- ニ 借入金等の返済金又は償還金に係る支出
③ 特定収入割合
その課税期間における資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額 に、特定収入の合計額を加算した金額のうちに、その特定収入の合計額の占める割合をいう。
④ 調整割合
その課税期間における資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額 に、課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額を加算した金額のうちに、その課税仕入れ等に係る特定収入以外の特定収入の合計額の占める割合をいう。
⑤ 人格のない社団等
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいい、人格のない社団等は法人とみなして消費税法の規定を適用する。
2. 調整税額(令75条4項)
(1) 全額控除の場合
①と②の合計額
- ① 課税仕入れ等に係る特定収入の合計額 × 6.3/108
- ② (課税仕入れ等の税額の合計額 – ①)× 調整割合
(2) 個別対応方式の場合
①から③の合計額
- ① 課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れ等に係る特定収入の合計額 × 6.3/108
- ② 課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等に係る特定収入の合計額 × 6.3/108 × 課税売上割合
- ③ (課税仕入れ等の税額の合計額 – ① – ②)× 調整割合
(3) 一括比例配分方式の場合
①と②の合計額
- ① 課税仕入れ等に係る特定収入の合計額 × 6.3/108 × 課税売上割合
- ② (課税仕入れ等の税額の合計額 – ①)× 調整割合