1. 工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
(1) 引渡課税期間の直前の課税期間まで
① 長期大規模工事の請負(法17条1項)
事業者が長期大規模工事の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行う場合には、所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により計算した収入金額又は収益の額に係る部分については、③の課税期間において、資産の譲渡等を行ったものとすることができる。
② 工事の請負(法17条2項)
事業者が工事の請負に係る契約に基づき資産の譲渡等を行う場合において、その工事の請負に係る対価の額につき、所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により経理することとしているときは、その方法により経理した収入金額又は収益の額に係る部分については、③の課税期間において、資産の譲渡等を行ったものとすることができる。
ただし、所得税法又は法人税法に規定する工事進行基準の方法により経理しなかった年の12月31日の属する課税期間以後の課税期間又は経理しなかった決算に係る事業年度終了の日の属する課税期間以後の課税期間についてはこの限りでない。
③ 計上時期
- 個人事業者 収入金額が総収入金額に算入された年の12月31日の属する課税期間
- 法人 収益の額が益金の額に算入された事業年度終了の日の属する課税期間
(2) 引渡課税期間(法17条3項)
(1)の適用を受けた事業者が、長期大規模工事又は工事の目的物の引渡しを行った場合には、その着手日の属する課税期間からその引渡しの日の属する課税期間の直前の課税期間までの各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとされた部分については、引渡日の属する課税期間においては資産の譲渡等がなかったものとして、その部分に係る対価の額の合計額をそれらの工事の請負に係る対価の額から控除する。
(3) 付記(法17条4項)
この規定の適用を受けようとする事業者は、確定申告書にその旨を付記するものとする。
2. 相続・合併・分割があった場合(法17条5項・令38条)
(1) 個人事業者
特定工事(1(1)の規定の適用を受けた長期大規模工事又は工事をいう。)の目的物につき、1(1)の規定の適用を受けている個人事業者が死亡した場合において、その特定工事の請負に係る事業を承継した相続人がその特定工事の目的物の引渡しを行ったときは、その個人事業者が1(1)により資産の譲渡等を行ったものとされた部分については、その相続人が資産の譲渡等を行ったものとみなして、1(2)の規定を適用する。
(2) 法人
(1)の規定は、1(1)の適用を受けている法人が合併により消滅した場合又は分割により特定工事に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について準用する。