1. 貸倒れに係る消費税額の控除等
(1) 内容(法39条1項)
事業者(免税事業者を除く。)が国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等及び輸出免税取引を除く。)を行った場合において、その課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権につき貸倒れの事実が生じたため、その課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をすることができなくなったときは、その領収をすることができないこととなった日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、その領収をすることができなくなった課税資産の譲渡等の税込価額に係る消費税額(その税込価額に108分の6.3を乗じて算出した金額)の合計額を控除する。
(2) 帳簿の保存
① 適用要件(法39条2項)
(1)の規定は、事業者がその債権につき貸倒れの事実が生じたことを証する書類を保存しない場合には、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により、その保存をすることができなかったことを証明した場合は、この限りでない。
② 保存期間(規19)
①の書類を、その領収をすることができないこととなった日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、納税地又はその取引に係る事務所等の所在地に保存しなければならない。
(3) 貸倒れの事実(法39条1項・令59条)
- ① 更生計画認可の決定により債権の切捨てがあったこと
- ② 再生計画認可の決定又は特別清算に係る協定の認可の決定により債権の切捨てがあったこと
- ③ 債務者の財産の状況、支払能力等からみて、債務の全額を弁済できないことが明らかであること
- ④ ①~③の事実に準ずるものとして一定の事実
(4) 償却債権取立益の取り扱い(法39条3項)
(1)の規定の適用を受けた事業者が、その領収をすることができなくなった課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部の領収をしたときは、その領収をした税込価額に係る消費税額を、課税資産の譲渡等に係る消費税額とみなして、その領収をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額に加算する。
2. 相続、合併、分割があった場合(法39条4・5・6項)
(1) 相続があった場合
① 貸倒れがあった場合
相続により被相続人の事業を承継した相続人が、被相続人により行われた課税資産の譲渡等の相手方に対する売掛金その他の債権につき、その相続があった日以後に貸倒れの事実が生じたときは、その相続人がその課税資産の譲渡等を行ったものとみなして、1(1)の規定を適用する。
② 債権回収があった場合
相続により被相続人の事業を承継した相続人が、その被相続人について1(1)の規定が適用された課税資産の譲渡等の税込価額の全部又は一部を領収した場合には、その相続人が1(1)の規定の適用を受けたものとみなして、1(4)の規定を適用する。
(2) 合併又は分割があった場合
(1)の規定は、合併又は分割により事業を承継した合併法人又は分割承継法人について準用する。