特定期間の納税義務の免除の特例(基本)

概要

特定期間における納税義務の免除の特例

事業者のうち、その基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者については、原則として消費税の納税義務が免除されます。(小規模事業者に係る納税義務の免除)

しかしながら、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高1,000万円を超えた場合には、課税事業者となります(特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例)

なお、この規定の適用の適否は、次の2つの判定を行い決定します。

  1. 特定期間の判定
  2. 特定期間の課税売上高の算定

次からそれぞれにつき、具体的に説明をしていきます。

なお、この規定は平成25年1月1日以後開始する年又は事業年度において適用されますが、既に適用開始から6年以上も経過していますので、H31年試験においては、特に気にする必要はないでしょう。

1. 特定期間の判定

特定期間は「個人事業者」か「法人」かによって異なります。

(1) 個人事業者の特定期間

個人事業者の特定期間はいたってシンプルで、その年の前年1月1日から6月30日までの期間となります。

個人事業者-特定期間

上の図では、当期がX5年ですので、その前年はX4年です。

したがって、特定期間はX4年1月1日からX4年6月30日までの期間となります。

ちなみに、個人事業者の場合は、事業をしていようがいまいが関係が無く、特定期間は必ず存在することになります

例えば「事業を当期から開始をした」という場合においても、前期に売上が無いだけで、特定期間は存在することになります。

(2) 法人の特定期間

法人の特定期間は、個人事業者と違ってやや複雑です。具体的には、前期事業年度が「短期事業年度」に該当するか否かにより、その取り扱いが異なります。

① 短期事業年度とは?

短期事業年度とは、事業年度が次のいずれかに該当するものを言います。

  • イ 7月以下のもの ← 絶対覚える
  • ロ 前事業年度が7月超・8月未満であって、前事業年度開始の日以後6月の期間の末日翌日から、その前事業年度終了の日までの期間が2月未満のもの ← 余裕がある人だけ
イ. 7月以下のもの

1つ目は、前事業年度が7月以下であるものです。

法人-特定期間-短期事業年度①
For Example

例えば、①前期に法人が設立された場合、②前期に決算期を変更した場合、③課税期間変更届出書の提出により、課税期間を短縮(例えば3月)している場合などに、このようなことが起きます。

ロ. 前事業年度が7月超・8月未満であって、前事業年度開始の日以後6月の期間の末日の翌日から、その前事業年度終了の日までの期間が2月未満であるもの

この論点は「応用論点」のため、次に記載しています。余裕が出てきたら手を付けましょう。

・特定期間の納税義務の免除の特例(応用)

② 特定期間の判定

次は特定期間の判定ですが、法人の場合は、前事業年度が短期事業年度か否かにより判定が異なります。

イ. 前事業年度が短期事業年度ではない場合

法人の前事業年度が短期事業年度ではない場合の特定期間は、個人事業者と同様に考えます。すなわち、その事業年度の前事業年度開始の日から6月の期間を特定期間とします。

法人の特定期間-短期事業年度ではない場合
ロ. 前事業年度が短期事業年度である場合

法人の前事業年度が短期事業年度である場合の特定期間は、さらに事業年度を遡り(さかのぼり)、その事業年度の前々事業年度開始の日から6月の期間が特定期間となります。

前々事業年度を特定期間とする場合

なお、前々事業年度が6月未満である場合には、その6月未満の期間を特定期間とします。


ただし、前々事業年度が次のいずれかに該当するときは「特定期間は存在しない」と判定をします。

  • (イ) その前々事業年度が基準期間に含まれるもの
  • (ロ) その前々事業年度が6月以下で、前事業年度が2月未満であるもの
  • (ハ) その前々事業年度が6月超で、その前々事業年度開始の日から6月の期間の末日(※)翌日から、前事業年度終了の日までの期間が2月未満であるもの
6月の期間の末日の考え方

「6月の期間の末日」の考え方は「特定期間の納税義務の免除の特例(応用)」を参考にしてください。

2. 特定期間における課税売上高の算出

特定期間の判定を行った後は、特定期間における課税売上高を算出します。

この特定期間における課税売上高の算出は単純で、特定期間における課税資産の譲渡等の税抜対価の額の合計額から、特定期間における売上に係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除して算出します。

特定期間における課税売上高は6ヶ月換算はしない!

なお、学習が進むほどポカミスをするのが、この「特定期間における課税売上高の算定」です。

何か?と言うと、特定期間における課税売上高の算定では、特定期間が6ヶ月未満であっても、6ヶ月分への換算はしません

基準期間における課税売上高の算定では、基準期間が1年ではない場合に、課税売上高を年換算します。基準期間における課税売上高と混同をしないように注意しましょう。

● 参考