不動産賃貸借に係る一時金の取り扱い

不動産賃貸借に係る一時金の取り扱い

不動産取引の一時金

不動産の賃貸借取引に当たっては様々な名称の一時金が登場しますが、消費税法の計算では返還義務のあるもの」と「ないもの」の2つに分類されます。

○ 返還義務のあるもの

返還義務のある一時金の代表例には「敷金」と「保証金」があります。

これらの一時金の特徴は賃貸借契約終了時に返還されるということです。

つまり、これらの一時金は、賃貸人から見ると「預り金」であり、賃借人から見ると「預け金」であり、その金銭の授受につき対価性がありませんので課税対象外取引となります。

したがって、これらの一時金が授受されても消費税は課税されません

返還義務のある一時金の例
  • 敷金

    主に住宅の賃貸借に当たって支払われる一時金で、賃借人が退去する時の原状回復費用賃料の不払いなどに充当されます。だいたい1~3ヶ月分の賃料が支払われます。

  • 保証金

    主に店舗や事務所の賃貸借に当たって支払われる一時金で、賃借人の債務不履行(賃料不払い)などに充当されます。月額賃料の10ヶ月~20ヶ月くらいが多いように思います。

× 返還義務のないもの

返還義務のない一時金の代表例としては「礼金」と「権利金」があります。

これらの一時金の特徴は賃貸借契約終了時に返還されないということです。

つまり、これらの一時金は、賃貸人から見ると「不動産の貸付けに対する対価」であり、賃借人から見ると「不動産の借受けに対する対価」であり、その金銭の授受には対価性があります

したがって、これらの一時金が授受された場合には消費税が課税され、賃貸人側は「課税資産の譲渡等」に該当し、賃借人側は「仕入税額控除の対象」になります。

ただし、貸付けの対象が「住宅」または「土地」である場合には、その取引は「非課税取引」に該当することになります。

したがって、この場合には、賃貸人側は「非課税資産の譲渡等」として処理しますが、賃借人側は「仕入税額控除の対象」にはなりません。

返還義務のない一時金の例
  • 礼金

    主に住宅の賃貸借に当たって支払われる一時金で、賃料の前払いとしての性格を有するものとされています。だいたい0~2ヶ月分の賃料が支払われます。

  • 権利金

    主に店舗や事務所の賃貸借に当たって支払われる一時金で、賃借権の設定の対価としての性格を有するものとされています。月額賃料の6ヶ月~12ヶ月くらいが多いように思います。

  • 更新料

    主に住宅の賃貸借の更新時に支払われる一時金で、契約の更新に対する対価とされています。

  • 名義書換料

    主に賃借人が転貸借(また貸し)をするに当たって、賃貸人の承諾を得るために支払われる一時金です。

● 留意点

試験対策上留意すべき点としては「一時金の名称で単純に判断をしてはいけない」ということです。

つまり、不動産賃貸借に当たって授受される一時金については「返還されるか」または「返還されないか」の実質で判断をすることが重要です。

例えば問題文に「敷金を月額賃料の3ヵ月分支払ったが、そのうち1ヶ月分は賃貸借契約終了後に返還されないこととなっている。」とあったら、返還される金額は2ヶ月分であり、返還されない金額は1ヶ月分ということになります。

● 参考