課税事業者選択不適用届出書の提出制限

概要

事業者は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、自己の都合により「課税事業者選択届出書」を提出することで、課税事業者になることができます。

また、課税事業者選択届出書を提出した事業者は、「課税事業者選択不適用届出書」を提出することで、「課税事業者選択届出書」を撤回することができます

課税事業者選択届出書-提出制限期間

しかしながら、消費税法では、「課税事業者選択届出書」を提出し、自己の都合で課税事業者になった以上、一定期間は課税事業者でいること強制されます

そして、この課税事業者でいることが強制される期間には、次の2種類の期間があります。

  • ① 最低2年間以上・・・通常の場合
  • ② 最低3年間以上・・・調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合

以下に、それぞれの場合について「図解」を用いて具体的に説明をしていきます。

● 通常の場合(最低2年しばり)

1つ目は、「最低2年しばり」のケースです。

① 適用対象者

この規定は、課税事業者選択届出書を提出した全ての事業者に対して適用されます。

② 提出制限の内容

課税事業者選択届出書を提出した事業者は、その届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出することができません

③ 図解による具体例

課税事業者選択不適用届出書-通常

まず、課税事業者選択届出書がX4期中に提出されているので、その届出書の効力は翌期、すわなちX5期から生じます。

また、これと同時に「不適用届出書の提出制限」として、X5期の初日(X5.4.1)から2年を経過する日(X7.3.31)の属する課税期間X6期の初日(X6.4.1)以後でなければ「課税事業者選択不適用届出書」を提出することができません。

したがって、課税事業者選択不適用届出書の効力も、提出日の属する課税期間の翌課税期間から生ずることから、たとえ不適用届出書が提出可能な最短の日であるX6.4.1に提出をしたとしても、不適用届出書の効力はX7期からしか生じないため、最低でも2年間の提出制限が課されることになります。

ちなみに、課税期間が12ヶ月でない場合には、課税期間の関係から、2年以上の提出制限期間が生じます。

● 調整対象固定資産を課税仕入れ等をした場合(最低3年しばり)

2つ目は、「最低3年しばり」のケースです。

① 適用対象者

この規定は、課税事業者選択届出書を提出した事業者のうち、一定の期間内に「調整対象固定資産の課税仕入れ等」を行った者に対してのみ適用されます。

② 提出制限の内容

課税事業者選択届出書を提出した事業者は、課税事業者の選択が適用されることとなった課税期間(届出書を提出した課税期間の翌課税期間)初日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の課税仕入れ等(※)をした場合には、その課税仕入れ等の日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、課税事業者選択不適用届出書を提出することができません

※ 調整対象固定資産の課税仕入等とは、調整対象固定資産の課税仕入れまたは調整対象固定資産である課税貨物の保税地域からの引き取りを言います。

③ 図解による具体例

課税事業者選択不適用届出書-調整対象固定資産の場合

まず、課税事業者選択届出書がX4期中に提出されているので、課税事業者の選択が適用されることとなった課税期間X5期の初日(X5.4.1)から2年を経過する日(X7.3.31)までの間に開始する各課税期間X5期及びX6期中に、調整対象固定資産の課税仕入れ等を行った場合には、「3年しばり」の不適用届出書の提出制限を受けることになります。

ここで、X6期中に調整対象固定資産の課税仕入れを行っていることから、その課税仕入れ等の日の属する課税期間(X6期)の初日(X6.4.1)から3年を経過する日(X9.3.31)の属する課税期間(X8期)の初日(X8.4.1)以後でなければ「課税事業者選択不適用届出書」を提出することができません。

したがって、課税事業者選択不適用届出書の効力は、提出日の属する課税期間の翌課税期間から生ずることから、たとえ不適用届出書が提出可能な最短の日であるX8.4.1に提出をしたとしても、不適用届出書の効力はX9期からしか生じないため、最低でも3年間の提出制限が課されることになります。

ちなみに、課税期間が12ヶ月でない場合には、課税期間の関係から、3年以上の提出制限期間が生じます。

● 参考