個別消費税の取り扱い

一般消費税と個別消費税

消費税には2種類の消費税があります。1つは「一般消費税」、もう1つが「個別消費税」です。

一般消費税は、私たちが日常で目にしている税率8%の消費税のことを言い、全ての財やサービスの消費に対して課されます。

他方、個別消費税は、特定の製造や消費に対して課さる税金のことを言います。身近なところで言うと、酒税ゴルフ場利用税入湯税などが個別消費税に当たります。

この「個別消費税」については、消費税法の試験対策上、さらに次の2種類の税目に分かれます。

  • 課税標準を構成する税目
  • 課税標準を構成しない税目

● 課税標準を構成する税目

個別消費税のうち、課税標準を構成する税目には次のものがあります。

税目 酒税 たばこ税 揮発油税 石油石炭税
重要度

これらの税目の特徴は、納税義務者が「他の法律により定められた特定の者」ということです。

(納税義務者の例)

酒税・・・酒類の製造者
たばこ税・・・たばこの製造者
揮発油税・・・揮発油の製造者

そして試験対策上重要なのは、このような税目の個別消費税は、その税額自体が資産の譲渡等の対価の額に含まれるということです。

課税標準を構成する個別消費税の取り扱い

もう少し掘り下げて説明をするために、上の図を用いて「たばこ税」について具体的に考えてみることとします。まず、A産業を「たばこ製造者」、B商店を「たばこ販売店」、一番右の人を最終消費者とします。

前述の通り、たばこ税の納税義務者は「たばこの製造者」ですから、A産業は、たばこをB商店販売した時点でたばこ税の納税義務を負います。そのためA産業は、タバコの製造原価に自社の利益とたばこ税を上乗せした価格でB商店に販売をします。

たばこ税

重要なのは、この販売されたタバコの消費税の課税標準(譲渡対価の額)には、たばこ税が含まれるということです。なぜなら、たばこ税はA産業にとっての原価であり、譲渡対価の額を構成していると考えられるためです。

したがって、A産業にとっての課税資産の譲渡等の対価の額には「たばこ税」が含まれ、B商店にとっての仕入税額控除の計算の基礎にも「たばこ税」が含まれることになります。

● 課税標準を構成しない税目

一方、次の税目の個別消費税は消費税の課税標準を構成しません(試験ではこちらが重要です。)

税目 入湯税 ゴルフ場利用税 軽油引取税 自動車取得税
重要度

なぜなら、これらの個別消費税は先ほどの個別消費税とは異なり、一般消費税と同じように「その物又はサービスの消費者が納税義務者」となるためです。

課税標準を構成しない個別消費税

また図を用いてもう少し具体的に説明をします。例えば上の図は、旅行客が温泉旅館に宿泊して、温泉に入浴するような場合です。

この場合、旅行客は入湯をすることで入湯税が課税されますが、旅行客が温泉に入るたびに課税者(市町村)に入湯税を支払うのはとても面倒です。そのため、旅館が旅行客に代わって、入湯税を市町村に支払います

この時、温泉旅館は宿泊者に対して宿泊代金を請求すると共に、入湯税も合わせて請求することになります。(そうしなければ、温泉旅館が入湯税を払うことになってしまうからです。)

入湯税

この場合、入湯税は温泉を利用した旅行客と市町村との課税関係であり、宿泊サービスとは別個独立した存在です。したがって、旅館は入湯税を宿泊料と共に請求したとしても、入湯税の実質は「立替金」であり、宿泊サービスの対価の額には該当しません。つまり、消費税の課税標準を構成しません

以上より、旅館にとっての課税資産の譲渡等の対価の額には「入湯税」は含まれず、同様に、旅行客の課税仕入等に係る支払対価の額にも「入湯税」は含まれないということになります。

● 個別消費税の試験対策上の取り扱い

色々と説明をしましたが、この論点はとても分かり辛い論点ですので、結論だけ覚えてもOKです。

したがって、試験対策上は、次のように覚えましょう。

(1) 酒税・たばこ税・揮発油税・石油石炭税
売上側:課税資産の譲渡等の対価の額に含める
仕入側:仕入税額控除の対象に含める
(2) 入湯税・ゴルフ場利用税・軽油引取税・自動車取得税
売上側:課税資産の譲渡等の対価の額に含めない
仕入側:仕入税額控除の対象に含めない

● 例題

1. 課税標準を構成する場合

A社が支払った燃料代100,000円の中には揮発油税が20,000円含まれていた。

課税仕入れの対価の額 → 100,000円

2. 課税標準を構成しない場合

A社が支払ったゴルフプレー料金100,000円の中にはゴルフ場利用税が5,000円含まれていた。

課税仕入れの対価の額 → 95,000円(=100,000円 – 5,000円)

● Advance

(1) 区分表示していない場合

前述の通り、入湯税やゴルフ場利用税、軽油引取税などは、利用者などが納税義務者となっているので、その税額に相当する金額を「請求書」や「領収証等」で相手方に明らかにし、預り金又は立替金等の科目で経理するなど、明確に区分している場合には、課税資産の譲渡等の対価の額には含まれないこととなります。

ただし、その税額に相当する金額を明確に区分していない場合には、課税資産の譲渡等の対価の額に含まれることになるため、注意しましょう。

(2) 重量税等の代行収入

課税資産の譲渡等を受ける者が本来納付すべきものとされている登録免許税、自動車重量税、自動車取得税及び手数料等(登録免許税等)について登録免許税等として受け取ったことが明らかな場合は、課税資産の譲渡等の金額に含まれません

例えば、車のオーナーが自動車整備工場などに車検を依頼した場合には、工賃に自動車重量税や自賠責保険料なども含まれた金額が請求されます。

このとき工場側では、工賃は役務提供に対する対価であるため課税資産の譲渡等の対価に該当するものとして取り扱いますが、自動車重量税等については、本来は自動車のオーナーが自分で支払うものを、工場側が代行して支払うために受け取った「立替金」に過ぎませんので、資産の譲渡等の対価には該当せず不課税取引として取り扱うことになります。

● 参考