特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

概要

特定新規設立法人

事業者が「特定新規設立法人」に該当する場合には、基準期間がない課税期間(例えば設立1期目、2期目)における「課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れ」については、納税義務が免除されません

これを「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」と言います。

この規定の適用に当たっては、新規に設立した法人が「特定新規設立法人に該当するか否か」の判定が重要になります。

そして、この特定新規設立法人の判定は次の2ステップからなります。

  1. 新規設立法人かどうかの判定
  2. 特定新規設立法人かどうかの判定

次からこれらを具体的に説明します。

1. 新規設立法人の判定

まず「新規設立法人」の判定を行います。

新規設立法人とは基準期間がない法人のうち、新設法人(資本金1,000万円以上の法人)又は一定の社会福祉法人に該当しないものを言います。

簡単に言えば、事業年度開始日において資本金が1,000万円未満であり、かつ、基準期間が無い法人のことを言います。

2. 特定新規設立法人の判定

次に「特定新規設立法人」の判定を行います。

特定新規設立法人とは、新規設立法人のうち次の2要件を満たす法人のことを言います。

  1. 新設開始日において、特定要件に該当すること
  2. 他の者又は他の者と特殊な関係にある法人(以下「他の者等」と言います。)基準期間に相当する期間における課税売上高が5億円超であること

(1) 新設開始日における特定要件の判定

新設開始日において、他の者により、新規設立法人の発行済株式又は出資(自己株式等を除く。)50%超直接又は間接に保有されている場合を言います。

なお、新設開始日とは、基準期間がない事業年度開始の日のことを言います。

(2) 他の者等の「基準期間に相当する期間の課税売上高」の判定

① 他の者等の範囲
  • 他の者(新規設立法人に対して出資している個人又は法人
  • 他の者と特殊な関係にある法人
特殊関係にある法人とは、他の者が直接又は間接に他の法人の資本又は議決権の50%超を保有している場合における「当該他の法人」を言います。また「解散法人」に該当する法人があればそれも含まれす。

なお、解散法人とは、新規設立法人の設立の日前1年以内、又は、新設開始日前1年以内に解散したもののうち、その解散した日において、その他の者と特殊な関係にあった法人をいいます。

② 基準期間に相当する期間の判定と課税売上高による判定

①の判定を行った結果「他の者等」が存在する場合には、当該他の者等につき次の2つの判定を最大で3回の判定を行います。

  • イ 基準期間に相当する期間が存在するかの判定 → 存在すればの判定へ
  • ロ その課税期間における課税売上高の5億円判定 → 5億円であれば納税義務あり
1回目の判定における基準期間に相当する期間
特定新規設立法人の納税義務の免除における1回目の判定

1回目の判定では、新規設立法人の新設開始日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に終了した他の者等の事業年度があるかを確認し、ある場合にはその他の者等のその各事業年度を合計した期間をもって、「1回目における基準期間に相当する期間」とします。

次に、この基準期間に相当する期間の売上高を12ヶ月換算し5億円判定を行います。

X = 他の者等の基準期間に相当する期間における課税売上高の合計額(売上に係る対価の返還等の金額を控除した金額) ÷ その基準期間に相当する期間の月数 × 12

X > 5億円 ∴ 納税義務あり

X ≦ 5億円 → 2回目の判定へ ただし、2回目の基準期間に相当する期間が無ければ、納税義務なし

2回目の判定における基準期間に相当する期間
特定新規設立法人の納税義務の免除における2回目の判定

新規設立法人の新設開始日の1年前の日の前日から当該新設開始日の前日までの間に終了した当該他の者等の各事業年度(※1)がある場合
当該他の者等の各事業年度を合わせた期間

※1:その終了する日の翌日から当該新設開始日の前日までの期間が2月未満であるものを除く。

● 判定式

X = 2回目の期間の課税売上高の合計額 ÷ その基準期間に相当する期間の月数 × 12

X > 5億円 ∴ 納税義務あり
X ≦ 5億円 → 3回目の判定へ ただし、3回目の基準期間に相当する期間が無ければ ∴ 納税義務なし

3回目の判定における基準期間に相当する期間
特定新規設立法人の納税義務の免除における3回目の判定

新規設立法人の新設開始日の1年前の日の前日から当該新設開始日の前日までの間に当該他の者等の事業年度(※2)開始の日以後6月の期間(※3)末日が到来する場合
当該他の者等の6月の期間

※2:1回目または2回目の判定期間に含まれる各事業年度を除く。
※3:当該6月の期間の末日の翌日から当該新設開始日の前日までの期間が2月未満であるものを除く
判定式

X = 3回目の基準期間に相当する期間における課税売上高 (※ 換算計算は行わないことに注意)

X > 5億円 ∴ 納税義務あり
X ≦ 5億円 → ∴ 納税義務なし 又は 高額特定資産の取得による納税義務の特例の判定へ

● 参考